かきつばたで有名な知立の「八橋」と、京都銘菓「八ツ橋」の関係・発祥問題
以前のブログで、かきつばたで有名な知立の「八橋」について書きました。
知立・八橋かきつばた園(無量寿寺庭園)2 八橋売茶翁・煎茶道賣茶流
<京都銘菓八ツ橋の発祥説>
京都土産の定番であり、京都銘菓の八ツ橋の名は、知立の愛妻川に架けられた八枚の板の橋が由来で地名となった八橋からとっているという説があります。
無量寿寺 (知立市) wikipedia 「京都の銘菓八ツ橋は一説にはこの八橋にちなむとされる。」と記載
一方、琴に似せた干菓子であり、筝曲の開祖の八橋検校(やつはしけんぎょう)の名からとっているという説もあります。
京都に初めて行ったのは、小学校の修学旅行ですが、土産に八ツ橋を買ってきました。
思い出のお菓子です。
八ツ橋というと、私は、やわらかい、生八ツ橋を連想しますし、こちらのほうが好きですが、戦後に生まれたものです。
八ツ橋 wikipedia
八ツ橋発祥を名乗る本家西尾八ッ橋のホームページを見ると、1689年に創業(前身は1687年創業)し、「現在の八ッ橋の原型となる、 橋の形をした素朴なおせんべいが誕生しました。」とあります。西尾八ッ橋の歴史
包装紙に、知立の八橋のかきつばたを使っていた歴史があります。海外へも。
京都には、たくさんの八ツ橋の老舗があります。
「京都八ツ橋商工業協同組合」の店舗一覧 組合加盟の14社
本社や本店が左京区聖護院(しょうごんいん)の付近に多くあります。
平安神宮などがある京都の岡崎公園近くです。
平安神宮などの参詣記
京都・桜花見と建築見学1 平安神宮・岡崎疎水・岡崎公園・ロームシアター京都(京都会館)
聖護院とは、お寺の名前ですが、京都御所が焼失時には、天皇の離宮になったこともある、格式高い寺です。
聖護院の森の付近の茶店で供されたのが八ッ橋の起源とする説があります。
< 数多くの八ツ橋の老舗>
京都にはよく行きますが、八ツ橋や生八ツ橋を買ってきます。
たくさんの老舗があり、どれにするか悩みます。
一昨年行った時は、本家西尾八ッ橋と同年創業の、こちらも八ツ橋発祥を名乗る、聖護院八ッ橋総本店の八ツ橋を買ってきました。硬い琴型です。
聖護院八ッ橋総本店のいう八ッ橋の歴史 八ツ橋の名の由来を八橋検校とする説です。
聖護院八ッ橋総本店の本店で買いました。
京都らしい風情あるお店です。縦スリットの虫こまどがいい感じです。大きな提灯がありました。
向いには、本家西尾八ッ橋の本店があります。看板マスコットの信楽焼きのたぬきが出迎えます。
本家西尾八ッ橋は清水寺周辺に三店舗など、有名観光地に多くの店があります。
西尾八ッ橋の里(西尾八ッ橋別邸)がその東隣りにあります。
1919年創建の旧河原林樫一郎氏の邸宅。
「京都市民が選ぶ 京都の財産として残したい京都を彩る建物や庭園」に指定されています。
とても大きな敷地で、長大な塀が続いていました。
八ッ橋の由来として再現した「かきつばたの池」があります。
四季折々の八ッ橋の庭の景色とともに、お食事・甘味をお楽しみいただけます。行ってみたいな。
すぐ近くの熊野神社の隣には、本家西尾八ッ橋の熊野店がありました。
ここが八ツ橋発祥と名乗っています。
本家西尾八ッ橋の親戚の関係である本家八ツ橋があります。
創業年も同じです。
発祥について、ホームページには、以下のように書かれており、知立の八橋を由来としています。
もともとは、京都・熊野神社の境内にある茶店でした。そこで、祖先である西村彦左衛門が『伊勢物語』の在原業平の風流を偲び、京の都の銘菓として製法を考案したのが始まりです。彦左衛門は、『伊勢物語』第九段「かきつばた」の舞台である三河の国の八橋にかけ、八枚橋の板の形に模した菓子を作りました。
日本の風流の心から誕生した八ッ橋。現在も、本家八ッ橋の包装紙にはかきつばたや橋の模様が施されています。
<発祥年をめぐる問題>
八ツ橋の発祥について、発祥年をめぐるこんな問題が勃発しています。
井筒八ッ橋本舗が、聖護院八ッ橋総本店に対し、創業「1689年」は根拠がないから表示をやめるよう、また、損害費用を求めて提訴したのです。
京都八つ橋の乱勃発!老舗「井筒八ッ橋本舗」がライバルを提訴「1689年創業はウソ」 Yahoo!ニュース 2018年6月5日
八ッ橋の起源論争、法廷に 「創業元禄2年」老舗が老舗訴え Yahoo!ニュース 2018年6月5日
京都「八ツ橋」の老舗同士が裁判…同じ“1689年創業”の老舗が語る“根拠” Yahoo!ニュース 2018年6月5日
なぜ老舗同士がトラブル? ~ 京菓子「八ツ橋」騒動 Yahoo!ニュース 2018年6月6日
聖護院八ッ橋総本店と同じ1689年に販売開始したというのに、本家西尾八ッ橋や本家八ツ橋への提訴はしていません。
なぜだろう。
どうなるんだろう。
井筒八ッ橋本舗の生八ツ橋は、祇園のアーケードで買ったことがあります。祇園町南側店
井筒八ッ橋の歴史 1805年創業 八ツ橋の名の由来を八橋検校とする説です。
この八ツ橋発祥問題から、地元の愛知県岡崎市の老舗二社の八丁味噌のGI登録問題を想起しました。
こちらは、発祥年や創業年が問題になっているのではなく、特産品のブランドを守る国の制度の登録から、本家である、二社が除外されてしまったことです。
次回に続く。岡崎・老舗二社の八丁味噌のGI(地理的表示保護制度)登録問題と解決へ向けての動き