耐力面材モイスTM:高耐震性、壁内結露防止、防火性、高気密高断熱化、居住性、環境性など自然素材のよさをもつ多機能建材
前回のブログの続きです。
設計した、「備える家/岡崎」でもそうですが、KANO空感設計の住宅設計では、外周には耐力壁(耐震壁・耐風壁)となる、耐力面材のモイスTMを張り、内部では、構造計算をして求めた必要か所に筋交いを併用しています。
アイカ工業製です。特長を動画で見る
大手建材メーカーのリクシルも販売しています。リクシルのWEBカタログはこちら。
以前は三菱マテリアル建材が製造していました。
三菱マテリアル建材のモイスのサイトもまだ残っているので、こちらもご覧ください。
この家は許容応力度計算による構造計算をしてあり、最高ランクの耐震等級3です。耐風等級は最高ランクの2。
世間では、筋交いだけとし、耐力面材すら使わない家がありますし、耐力面材を使う場合でも、構造用合板を使う家も多いです。
家はサイコロのように、面で囲んだほうが、壁面が一体となり、力が分散されるので地震に強く、しっかり受け止めます。
筋かいは、圧縮方向の力に対しては有効に働きますが、引っ張りに対して十分な抵抗力があるとは言えません。
構造用合板は透湿抵抗が高く、外壁内に入った湿気が抜けにくく、壁内結露の恐れが考えられ、燃えます。
モイスTMは、湿気を通しやすく、湿気に強く、耐震性が高く、火災に強く、居住性(住み心地)が高く、環境にやさしいです。
オールドセラミックスの基材に天然の鉱物(バーミキュライト)を加え構成されています。
セラミックでありながら木材のように粘り強く、湿度の調整や消臭効果にすぐれた土壁の機能を併せ持った建材です。
開発コンセプト
以下のような様々なメリットがあります。詳しくはこちら。
耐震性:壁倍率が構造用合板が2.5倍であるのに対し、2.7倍であり、釘の間隔を細かくする施工法だと、3.8倍になります。
地震や台風によって建物に生じる力を負担しているのは、柱や梁ではなく耐力壁と言われる部分です。
その耐力壁の強さを表すのが壁倍率です。
壁倍率が1というと約200kgf/mの耐力をもつ壁。この数値が大きい程、強い壁材ということになります。
初期剛性、最大荷重、粘り強さで、他建材より優れています。
引っ張りに対して強いです。優れた耐震性
釘引き抜き力:粘り強いため高く、抜けにくいです。地震時に揺れた際にメリットをもたらします。
透湿性:透湿抵抗が低く、壁内に入った湿気を外へ通しやすく、壁内結露を防止します。
調湿性:湿気を吸ったり、はいたりして、壁内結露を防止します。湿気を自在に調節。
防蟻性:モイスTMは主に無機材料で構成されており、シロアリの好む成分を含みません。
「長期優良住宅」の劣化等級3の防蟻処理が不要です。
耐腐食性:無機質で構成されているので、養分がなく、アルカリ性のためカビの繁殖を抑制することができます。
調湿機能によりモイスに結露が生じにくいです。
アトピーや喘息の原因となるカビやダニの発生を抑制します。
耐久性:素材自体に経年劣化がおこりにくく、耐劣化性が高いです。
防火性:主成分が無機系材料で、優れた防耐火性能があり、不燃材です。構造用合板のように燃えません。
様々な断熱材との組み合わせによる外壁防火構造認定を取得しています。
よく、採用する、新聞紙を粉砕繊維化した断熱材である、セルロースファイバー(防火性あります)との組み合わせ認定があります。
抜群の耐火性
防音性:モイスTM(9.5mm厚)は、せっこうボード(9.5mm厚×2枚=19mm厚)と同等の遮音性を有します。
屋内の騒音を抑え静かな屋内環境を実現します。
気密性:耐力面材を張ることにより、気密性が高まり、冬場の冷気や夏の熱気の侵入を抑え、断熱性が高まります。
耐力面材がない場合は、構造躯体の外側には透湿防水シートがあるだけなので、すきまだらけです。
せっこうボードや合板よりも素材の気密性が高いです。
さらに気密性を高めるために、構造躯体とモイスとの間に気密パッキンを併用したこともあります。
日本住環境製 PEパッキン。
サッシとモイスとの間にも気密パッキンを設置したこともあります。日本住環境製 リーチ窓用。
断熱性:素材自体に断熱性があります。熱伝導率0.24(W/m・K)以下
環境性:モイスは主に天然素材で構成されています。有害物質を含まず、シックハウスの原因を含みません。
また、他の建材や家具等から出る有害物質(ホルムアルデヒド)を吸着・分解します。緊急事態!シックハウス
リサイクル性:現場廃材を粉砕すれば、ケイ酸肥料として使用できます。
現場廃材利用のモイス調湿袋。
吸水厚さ変化性:少ないので、モイス張り後、透湿防水シートを張るまでに雨に濡れても、その後の問題が生じにくいです。
将来、万一、透湿防水シートとモイスとの間に雨水が入った場合の対策にもなります。
耐候性:高いです。モイスTM自体が外壁材になるわけではありませんが、上述のように、モイス張り後に透湿防水シートや外壁設置までの間は、特に重要な項目です。
また、外壁材と透湿防水シートとの間には通常、外壁通気層を設けるので、透湿防水シートの重なり部のすきま等を通して、外気の影響を受けます。
加工性:セラミックでありながら粘り強さがあるため木材のような加工性を有し、現場でも簡単に加工できます。
施工性:接着剤を使わずスピード施工。
他社耐力面材や合板等との比較表 様々な点から優位性があります。
リンク先の表中の他社耐力面材とは、厚みや壁倍率、準不燃材であることなどから、ライバルである大建工業製のダイライトMSと思われます。
内側から見たモイスTMと木製筋交い。写真の筋交いは内部にありますが、外壁面に設けてある部分もあります。