Blog / KANO空感設計 あすまい空感日記・・・明日の私(MY)の住まい

床下暖房のOMソーラーとCCFスタイルの違い

昨日のブログの続きです。
「床下暖房」というと「OMソーラー」が有名です。
採用したことはありませんが、以前は関心があって、いろいろ調べたことがありますし、採用された家を冬に見学・体験したこともありますし、浜松のOMソーラー本部にも見学に行ったことがあります。
「OMソーラー」とは、東京藝術大学名誉教授の建築家の奥村昭雄さんが開発した、太陽熱利用の床下暖房システムです。
「OM」とはもともとはOkuMuranaなのですが、OMソーラー(株)では、「おもしろい・もったいないOmoshioi Mottainai」のキャッチフレーズとして使っています。
フランチャイズ工法として全国展開しています。
屋根面に乗せた太陽熱集熱ガラスパネルから、温まった空気を1本の大きな縦ダクト(管)で1階床下まで、ファンで送ります。
床下を暖めると同時に、床に設けられた吹出し口から温風が出てきます。
昨日のブログで紹介した床下冷暖房のCCFスタイルと比較してみました。
積極的な自然エネルギー利用のOMソーラーと、自然エネルギー利用のない床下冷暖房CCFスタイルを比べることは、全く違うものを対象にしているので、どうかとも思いますが。
OMのホームページや資料を読むといいことづくめのようですが、そうでもないという声も聞きます。
OMソーラーは、冷房はできません。
OMソーラーは、曇りや雨・雪の日は暖房の機能が低下したり、働かないので、別途暖房機が必要になります。
CCFスタイルは、冷暖房可能で、機能が天候に左右されません。
OMソーラーは、「パッシブソーラー」として太陽熱利用をうたい地球環境にやさしいことをPRしていますが、大掛かりな機械や電気の必要な送風ファンが必要なので、純粋な「パッシブソーラー」とは言えないと思います。
CCFスタイルは、エコキュートと同じようにヒートポンプユニットを採用して、大気中の空気の熱を利用していますが、それを動かすのに電気を使っています。
OMソーラーは、床下のコンクリートの基礎がむき出しなので、コンクリートに空気熱が吸い取られてしまいまい、室温を上げるのに時間がかかります。
コンクリートに蓄熱させるためですが、地面の温度のほうが低いため、地面に熱を取られ、熱ロスがあると思われます。
コンクリートの下に断熱材があればいいと思います。
そうなると地熱利用はできなくなりますが。
CCFスタイルは、コンクリート基礎に断熱材を吹き付けてあるので、空気の温度低下が少ないです。
OMソーラーは、床面の温度むらが大きいです。
1本の縦ダクトでおりてきた周辺の空気は暖かくても、そこから遠い場所では、冷めてしまうからです。
1階が大きな家では、メイン暖房にはなりにくいと思いますので、補助暖房が必要?OMが補助?か分からなくなります。
CCFスタイルは、床面に置いた1台の空調機から、10本くらい(1階床面積に応じて増減)の断熱された冷温風ダクトを、冷暖房を強めたい場所の付近まで、各々延ばしますので、温度むらが少ないです。
OMソーラーは、大きな太陽熱集熱ガラスパネルを乗せる必要があるので、屋根の向きや勾配、デザインの制約があります。
屋根の作りが特殊なため、雨漏れの危険性が全くないとは言い切れません。
CCFスタイルは、外観上の制約はありません。
OMソーラーは、天井裏などに小屋裏部屋を設け、そこに大きな機械を設置しなければならず、さらに1階床下まで、大きな縦ダクトを立ち下げなくてはならないので、スペース及び、デザイン上の配慮が必要です。
小屋裏収納やロフトを採用したい場合は、制約があります。
CCFスタイルは、機械の設置場所の制約はありません。
1階リビングなら1階に置きますし、2階リビングなら2階に置きます。
OMソーラーほどは設置スペースをとりません。
2階には縦ダクトはありません。
1階に置いた機械で、2階も冷暖房する場合は、1階から2階までの縦ダクトが必要になります。
OMソーラーは、暖房のいらない春から秋には太陽熱を給湯にも利用できるのがいいところです。
しかし、暖房が必要な冬の時期には、利用できなくなります。
CCFスタイルは、給湯できません。
OMソーラーは、冬に過乾燥になりがちで、温度コントロールが難しいと聞きます。
CCFスタイルは、空調機により制御可能です。
OMソーラーは、ほこりっぽい空気になると聞きます。
CCFスタイルは、空調機の空気清浄機能やフィルターによって、空気をきれいにします。
冷暖房期以外も床下換気として年間を通し、機械を連続運転する使い方が標準です。
それにより、ダクト内の結露やカビの発生を抑えます。
OMソーラーは、夏に熱い熱を小屋裏の機械にいったん入れてから、排熱するので、小屋裏や2階が特に暑くなります。
CCFスタイルは、そういうことがありません。
OMソーラーは、イニシャルコストが高いです。
CCFスタイルもコストはかかりますが、OMソーラーの場合に別途必要になる冷暖房機器が不要です。
OMソーラーはフランチャイズです。愛知県では現在6社しか、やっている工務店がありません。
CCFスタイルは、工務店を限定しません。
いずれにしても、高気密高断熱の家にするのが条件です。
また、床下に有毒な農薬系の防腐防蟻薬剤をまかず、自然系(私はホウ酸系やコレマナイトをよく採用します)や物理的バリヤー法を使用することも条件です。