1 都合のいい坪単価
「坪単価」の中身をよく見る必要があります
- 「坪単価」とは実はあいまいなものですし、そもそも、ハウスメーカー等の家と私たちが手がける家
が質的に違うので、単純比較はできません。家づくりの価格は全て含んだ総額で考えるべきです。 - 「1坪当たりいくらで家が建てられるか」だと思っている方がほとんどですが、ハウスメーカー等の
広告する坪単価とは、「指定する工事範囲」を1坪当たりいくらで建てられるかの「最安値」です。 - 会社によってこの範囲(本工事か別途工事かの区分。基礎工事が別途の場合も)が違うのです。
範囲が違うなら坪単価の比較は意味ありません。通常この金額だけでは家は建ちません。 - 本来は、詳細図面によって正確に見積もられた金額を延床面積で割ったものです。
- ここでいう「延床面積」は、設計事務所の場合は、室内の面積を指しますが、ハウスメーカー等の
場合は、外部であるバルコニーやポーチ、室内の吹抜やロフトも含む場合があります。
同じ金額を広い面積で割り算すれば、坪単価は安く表示できます。 - 一番安くできる総2階(1・2階が同じ大きさ)の大きな家が「坪単価」の基準になっていることが多い
ので、面積の狭い場合や平面形状が複雑な場合はその坪単価ではできず割増金額が発生します。
家が大きくなっても水廻り設備や階段の数などが増えるわけではないので、大きい家ほど坪単価
は安く、小さい家ほど高くなるからです。 - 「坪単価x延床面積=本体工事」以外にも、右のように様々な工事費がさらにかかります。
オプションになる項目も多く、実際は広告の坪単価で建つことはないのです。
2 変わる工事費
いろいろな条件や要望で変わります
- 「坪単価」とは実はあいまいなものです。詳しくはNote/1-1 また、設計前にご要望も伺わず、工
事金額を単純に坪いくらと言うのは、意味のないことです。 - 住宅の設計をやっていれば、例えば、坪60万の仕様、坪70万の仕様、といったように坪単価と仕様
の関係が把握できるのではないかと思う方もいるかもしれません。 - しかし、私達にはハウスメーカー等のように「標準仕様」という考えはなく、敷地条件や建主の要望
を反映しようとすればするほど、毎回違ったものになります。造作家具や本工事のエアコン有無な
ど工事範囲も変わります。 - かといって、全く目安なしに設計を進めると予算オーバーになってしまいますので、概算を出しな
がら進めるのですが、以下のように仕様の差以外の部分でかなりの差が生じるため、また、基本
設計段階では詳細な仕様まで決まっていないので、精度の高い概算は難しいです。
敷地条件や接道条件による差
- 軟弱地盤、狭小敷地、高低差、道路が狭いなどは、設計に影響したり工事しにくく割高になります。
建物形状による差
- 同じ面積でも平屋は基礎や屋根が増えて高く、凸凹や下屋(1階の屋根)、吹抜、バルコニー、ポー
チにより高くなります。外壁面積が増えるので平面が正方形より長方形の家のほうが高くなります。
工務店による差
- 競争入札しても、いつも同じ工務店が安いとは限りません。地域的に守備範囲か、工種的に得意
かどうか、時期(忙しいか暇か決算期か)、やりたい仕事かそうでないか(敷地条件、営業的なメ
リット)などが複雑に絡んできて、その都度価格は上下します。
地域による差
- 県内でも、名古屋市とその他では人件費による工事費の違いはあります。
物価変動期の見積時期による差
- 原油高や他国の需要増大により、建材が値上がりしています。
本体か別途か会社で違うことが多い項目
・設計監理料、確認申請手数料、仮設足場、雑工事(キッチンや浴室、洗面化粧台などの設備ユニット)、造作家具、電気設備工事、照明器具・取付、ガス配管工事、給排水衛生工事、下水道接続工事、屋外給排水衛生工事、ガス引き込み、合併処理浄化槽、シロアリ処理など
「別途工事」とされることが多い項目
外構、電気引込み、電話・インターネット・TV引込み、エアコン・取付、カーテン・カーテンレール及び取付、特殊設備、水道など各種負担金、測量、地盤調査、地盤改良、解体・廃材残土処分、整地・盛土など