Blog / KANO空感設計 あすまい空感日記・・・明日の私(MY)の住まい

「南欧モダンの白い家」 その4

昨日のブログで、「その土地の気候風土や取れる建材・生活スタイルが、その土地に建つ家の形を決定している」と書きましたが、南欧の白い家の場合を具体的に書いていきます。

まず、特徴的なのは、スペイン瓦と呼ばれるオレンジの丸みを帯びた瓦を乗せた屋根です。
オレンジ色は、その土地の土(テラロッサと呼ばれる石灰岩が風化したもの)の色なのです。
瓦というのは土を焼いたものです。
日本の瓦と違って、釉薬をかけず、素焼きのままとすることも多いです。
なので、吸水率が高いですが、雨が降っても、暑いのですぐ乾くし、凍結して割れるようなこともないからです。
そして屋根の勾配が緩いです。日本では瓦屋根の場合、屋根の勾配を4/10以上にすることが常識とされています。それは、日本は雨が多く、台風も来ることに対応したものなのです。
一方、南欧では雨が少なく、台風もありません。緩い屋根勾配でも雨漏りの心配がないのです。

また、軒の出が極端に少ないです。特に、妻側(屋根が三角形に見える方向)はほとんど出ていないこともよくあります。
これも、雨が少ないから、なしえることです。

白い壁は、南欧でよく採れる石灰の色です。レンガや石積みの壁に石灰を塗ってあるのです。
これは、暑い日射を反射させるためなのです。(黒は熱を吸収しやすく、白は反射することを利用)
屋根瓦の上にまで、白く塗っている民家もあります。
窓は小さく縦長が多いです。暑いので、窓を小さくして、熱を入れないためです。レンガや石積みは断熱効果があり、家の中に入れば、乾燥しているし、涼しいのです。
むしろ、窓を閉めて、外の熱風を入れないようにしています。
また、レンガや石積みはその構造上、幅の大きな窓を造るのが難しいのです。
窓の上のレンガや石の重量をささえる必要があるからです。
西洋では、この解決のためにアーチ(窓の上部などの半円形にくりぬかれた壁)というものが考え出されたのです。
南側であっても掃き出し窓でなく、腰窓(腰から上に設けた窓)のことも多いです。
日本ほど、南向きをありがたることもないです。
壁が厚いので、窓を内側寄りに付ければ、庇代わりになるので、窓の上に庇をわざわざ付ける必要がありません。
南欧というと明るいイメージがありますが、窓が小さいので、室内は逆に暗いのです。
他の西洋の国と同様に室内では靴を履いて生活するので、室内の床はオレンジのテラコッタタイルが一般的です。(この素材も瓦と同様)
壁は外壁と同じ、白い石灰を塗っています。
日本人と違って、子供といえど、個を重んじる家族関係も家の造りや間取りに影響しています。レンガや石で完全に仕切られた小部屋に分かれています。

「南欧モダンの白い家」 その3

白い南欧の家は主に、地中海沿岸のポルトガル、スペイン、イタリア、ギリシャのうち各国の南部に見られます。
地中海性気候と呼ばれ、一年中温暖で、乾燥しており、雨が少なく、夏には厳しい日差しがあります。雪も降りませんし、台風もありません。
乾燥しているので、山にはこのように木が少なく、そんな環境でも育つ代表的な木はオリーブです。


一方、豊橋は、夏は高温多湿で、冬は乾燥して冷たい強い風が吹きます。また、台風や地震の脅威もあります。
一年を通しては、比較的温暖で、適度な降水量もあり、年間日照も長い豊橋は、作物の栽培に適しており、豊橋市は隣接する渥美半島にある田原市とともに、日本一、二を争う農産物出荷額を誇る緑豊かな大地なのです。下の写真はまるで北海道のような広大な農地

日本の中でも沖縄と北海道や東北の民家の形が違うように、その土地の気候風土や取れる建材・生活スタイルが、その土地に建つ家の形を決定しているのです。
私達は、日本の豊橋の気候・風土にあった、「南欧テイストの家」にするべきと考えていました。
そこで、計画案依頼をいただいた当初から、U様には、かの地にある白い南欧の家を完全コピーしたり、ちまたで流行っている「南欧デザインの家」をまねた設計をするつもりはないことをはっきりと申し上げてありました。
「白い南欧の家」がもつ、「きらめき輝く光、晴れ渡った青い空、明るい、開放的、湿気がなくからっとしてさわやか、時間がゆったり流れる、あくせくしない、のんびり、心から開放、安心、心地いい」といったイメージを抱くような家にしましょうとお話しました。
U様には、この考え方にご賛同いただき、設計依頼へと進んでいったのです。

「南欧モダンの白い家」 その2

昨日に引き続き、実施設計中の「南欧モダンの白い家」をご紹介します。
計画案の時と比べ、プランは大きくは変わっていませんが、ファサードや屋根はずいぶん変わりました。
下は計画案提出時の模型と外観パースです。2階のボリュームが今と比べ小さかったのです。
また、2階の屋根はモダンな片流れでした。



西隣に建つ築30年ほどの母屋(奥様のご実家)のデザインが白いモダンな家で、こちらも片流れなのです。
初めて敷地を訪れた時は、実家がモダンな家とは聞いていなかったので、びっくりしました。
調和を考え、計画の家も白い外壁で、緩い勾配の片流れとしていたのです。

右奥の建物が母屋です。

U様は計画案のイメージも気にいっていらっしゃいましたが、2階の屋根が見えるように、また、三角屋根の形状が正面ファサードから見えるようにしたいとのご要望によって、今の実施設計の外観に至っています。

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