戦前の名古屋や各務原を中心とする東海地方は零戦など戦闘機生産のメッカ・現在は航空宇宙産業のメッカ・多くの航空・宇宙博物館
前回ブログの続きです。
前回は、「名古屋が舞台のジブリ映画「風立ちぬ」・零戦の設計技術者「堀越二郎」が主人公・名古屋の三菱重工業で設計開発生産」
戦前の名古屋や各務原を中心とする東海地方は、ジブリ映画「風立ちぬ」の主人公の堀越二郎が設計した、零戦などの戦闘機生産の全国有数の生産地であり、メッカでした。
<零戦>
名古屋ドーム周辺にあった三菱重工業の戦闘機工場で、零式艦上戦闘機、いわゆる「零戦(ゼロ戦)」が設計開発され、生産されました。
零式艦上戦闘機の「零式」は「れいしき」と読みます。ゼロは敵性語だったからです。
零式艦上戦闘機 Wikipedia
当時の日本の軍用機は、採用年次の皇紀下2桁を名称に冠する規定で、零戦の「零式」との名称は、制式採用された1940年(昭和15年)は皇紀2600年にあたり、その下2桁が「00」であるためです。
生産数は日本の戦闘機では最多の1万機以上です。
<零戦の実機展示>
現在は、日本には飛行できない実機(復元含む)が、以下の博物館等に複数あります。
あいち航空ミュージアム(愛知県豊山町の県営名古屋空港)
航空自衛隊浜松基地浜松広報館(静岡県浜松市)
河口湖自動車博物館・飛行舘(山梨県鳴沢村) 復元3機展示
靖国神社遊就館(東京・九段北)
国立科学博物館(東京・上野公園) 見学した方のブログ 上野・国立科学博物館 で「ゼロ戦に会いに行こう!!」
日本海軍基地のあった地で、零戦を展示する戦争博物館である以下の館
大和ミュージアム(やまとミュージアム 呉市海事歴史科学館) 零戦展示のページ
呉は日本の4つの海軍の根拠地である鎮守府のうちの1つ。
戦艦「大和」を建造した東洋一の軍港、日本一の海軍工廠(兵器工場)の街。愛知県豊川市の海軍工廠も大きな工廠でした。
2016年に、他の3つの旧鎮守府とともに、日本国内の鎮守府関連施設は「鎮守府 横須賀・呉・佐世保・舞鶴 〜日本近代化の躍動を体感できるまち〜」として、日本遺産に認定されました。
特攻基地があった地で、特攻機として、零戦を展示する戦争博物館である以下の館
知覧特攻平和会館
海上自衛隊鹿屋航空基地史料館
筑前町立大刀洗平和記念館(福岡県朝倉郡筑前町)
<零戦の飛行>
世界じゅうでは、飛行できる実機は5機ありますが、全てアメリカにあり、1機のみオリジナルのエンジン「栄」を積んでいます。
2016年、ゼロエンタープライズ・ジャパンが「零戦里帰りプロジェクト」で復元し、アメリカで登録した機体(N553TT)を、海上自衛隊の鹿屋航空基地(かつての特攻基地、零戦実機展示の鹿屋航空基地資料館がある)で試験飛行させました。
戦後の日本国内で、日本人所有の零戦が飛行するのは初です。
また2017年にはレッドブル・エアレース・ワールドシリーズの千葉大会でデモ飛行を行いました。
2017年レッドブル・エアレース・ワールドシリーズ 千葉
室屋義秀選手が、地元日本の大会で2年連続で優勝しました。2017年に年間総合優勝しました。すごいことです。
テレビで、室屋選手の特集を見たことがあります。
「機動戦士ガンダム」の主人公アムロ・レイに憧れ、パイロットを目指す話や、下積時代からを振り返っていました。
先月、同大会が千葉市幕張海浜公園であり、テレビで見ました。 エアレース世界選手権2018 NHK
2018年レッドブル・エアレース 公式
最大時速375km、最大加速度10Gの過酷な状況下で、スピードで自由自在に飛行機を操り、多くのパイロン(エアゲート)を次々に通過していきます。
このエアレース世界選手権は、今年、通算11シーズン目で、日本では2015年から毎年開催されています。
< 名古屋発の戦闘機メーカー>
名古屋発の戦闘機メーカーの工場も名古屋にありました。
もともと時計を作っていた、愛知時計電機(株)及びその子会社の愛知航空機(株)です。
愛知航空機(株)は、戦後、いくたびかの変遷を経て、愛知機械工業(株)に社名変更し、終戦直後からは、オート三輪や軽自動車生産をしていました。
現在では、日産自動車の機能子会社となり、エンジン・マニュアルトランスミッションなど自動車部品・産業用部品を中心としたメーカーとなっています。
<各務原の戦闘機工場>
各務原には、堀越二郎が設計した、戦闘機「隼(はやぶさ)」等を生産していた、川崎重工業の岐阜工場がありました。
過去ブログ
アイカ工業(株)の歴史 戦闘機製造の愛知時計電機(株)から分離設立・戦前の名古屋・岐阜の航空機産業
戦前の飛行機技術が戦後の自動車技術に継承 多くの自動車・バイクメーカーが誕生
<特攻機>
百田直樹さんの大ヒット小説を映画化した、「永遠の0」は、特攻機となった零戦の特攻隊員の心の葛藤を描くものです。
特攻機については過去ブログ
特攻戦闘機を展示する鹿児島の平和博物館 知覧特攻平和会館・万世特攻平和祈念館・鹿屋航空基地史料館
戦闘機を展示する東京の平和博物館 靖国神社の遊就館
<航空宇宙産業のメッカ>
現在の東海地方は、航空宇宙産業のメッカです。
過去ブログ
躍進する戦後の東海(愛知・岐阜・三重)の航空宇宙産業
<航空・宇宙博物館>
東海地方には、航空・宇宙博物館がたくさんあります。
過去ブログ
東海地方の航空宇宙博物館 あいち航空ミュージアム・MRJミュージアム(共に2017年オープン)・岐阜かかみがはら航空宇宙博物館(2018年3月増築リニューアルオープン)・航空自衛隊浜松広報館 エアーパーク(日本初の航空自衛隊のテーマパーク)
昨年2017年秋、県営名古屋空港内に、あいち航空ミュージアムがオープンしました。
零戦の実機や、戦後初の国産旅客機・YS-11の実機があります。ともに堀越二郎が設計。
岐阜かかみがはら航空宇宙博物館のある、各務原市は日本の航空産業が誕生した地です。
日本現存最古の飛行場である、各務原で初飛行を行った「零戦(十二試艦上戦闘機一号一型)」の実寸大模型を展示しています。
各務原で生産していた、戦闘機「飛燕」の実機展示があります。
これは、日本唯一の残存機体です。
東海地方以外の主な航空宇宙博物館や、そこに展示してある戦闘機を紹介した過去ブログ
東海地方以外の主な航空宇宙博物館 石川県立 航空プラザ・カワサキワールド・所沢航空発祥記念館・航空科学博物館・三菱みなとみらい技術館・河口湖自動車博物館・飛行舘・青森県立三沢航空科学館
次回に続く。
「鈴木敏夫プロデューサーの展覧会「言葉の魔法展」のポスターの背景にある名古屋駅前の「カブトビール」の看板・半田市赤レンガ建物」