Blog / KANO空感設計 あすまい空感日記・・・明日の私(MY)の住まい

「土間と廻り縁がつなぐ2つの家」 その2

昨日に続き、豊橋の方へのプレゼンテーション(計画案提案)について書きます。

この家に特徴的なものの1つとして玄関・ホールの土間空間があります。
玄関はどの家でも土間としてタイルなどで仕上げられますが、ホールも玄関と靴を脱ぐ境界を示す、わずかな段差だけとして、土間にしたのです。
玄関とホールを合わせて、4帖半(一般的に計画する場合は3帖が多いです)のゆとりのスペースとし、明るい多目的空間です。
引き違いの玄関ドアは全面ガラス、LDKとの引き違い戸も、以前のブログで紹介したユーボードという光が透ける和紙の風合を持つ建材です。
(巨大サンプルはお返ししました。小さなサンプルと写真を撮ってあるので、お見せすることはできます。)
ハナレと母屋の関係のように、外部空間で隔てられて、それぞれの世帯が離れて住まう場合は、その外部空間が精神的なクッションとなり、プライバシー感を高めることができます。
しかし、同一棟に一緒に住む同居型二世帯住宅の場合は、プライバシー感や独立性に乏しくなりがちです。
そこで、大きめの共有空間である玄関・ホールを、内部でありながら、外部のような建材で仕上げ、また、できるだけ明るくすることにより、そこが「外部」という意識付けができれば、お互いの精神的クッション空間となり、互いに気兼ねない生活がしやすくなります。
精神的な距離感は、物理的な距離だけでなく、このような工夫によって、長くもなり、短くもなります。
玄関ドアは1つなのですから、「大きな家の中に2つの家が入っている」という感覚が生まれます。
外壁に使う杉板張りを、玄関やホールの壁にも張り、精神的クッションとしての外部空間に見立てた土間空間とするのです。
杉板や外縁の塗装には、以前のブログその1その2でも紹介した、小川耕太郎∞百合子社の「ウッドロングエコ」という塗り替え不要な画期的な自然塗料を使います。

土間空間は、「家の顔」としての演出空間であるのは、もちろんですが、それ以外にも様々なことができます。
そこに面するお母様の部屋の生活スペースを広げたり、観葉植物を育てたり、子供達のあそび場になったり、アートを飾ったり、ふらりと近所の人が訪れることのできる応接空間にもなります。
次回に続く。